| タミフルだけじゃない 薬が引き起こす劇症肝炎 |
異常行動が問題となっているインフルエンザ治療薬「タミフル」で、先ごろ、服用した男性2人が劇症肝炎で亡くなっていたことが明らかになった。厚労省は新たに「劇症肝炎」をタミフルの副作用に追加した。それにしても「肝臓が溶ける」という劇症肝炎、実はタミフル以外の薬でも引き起こされる可能性が高いというから恐ろしい。
「肝臓で薬を代謝する過程には個人差があり、その過程でアレルギー反応を起こし、劇症肝炎へと結びつく。なぜ特定の人に劇症肝炎が起こるかはよくわかっていません」と話すのは、肝臓病治療の専門家である武蔵野赤十字病院消化器科の泉並木(いずみ・なみき)部長。
肝臓には、薬を分解する酵素があり、それは薬ごとに決まっている。酵素は遺伝的に人によって異なり、薬が分解される過程で生じる化合物に対し、アレルギー反応を起こすと、肝機能が低下。発熱、全身のだるさ、食欲低下、尿が茶色もしくは赤くなるなどの自覚症状がサインだ。
「この段階で薬の服用をやめて、主治医に専門医を紹介してもらい、副腎皮質ホルモンなどによる治療を受けることが大切」(泉部長)
薬による肝機能低下は飲み始めてすぐに症状が出る人もいれば、数週間、数カ月後と個人差がある。多くは服用後1カ月以内に症状が現れ、そのうちごく一部が劇症肝炎に移行する。
「劇症肝炎では、一気に肝細胞が壊れ、肝臓が溶けていく。2―3週間後には全部溶けてしまう。意識不明の肝炎脳症も引き起こし、劇症肝炎になると死亡率は7割にも上ります。そのため、劇症肝炎になる前に食い止めることが重要」(泉部長)
実は、タミフル以外にも、副作用として劇症肝炎が添付文書に明記されている医薬品は600件近くに上る。中でも、心筋 梗塞(こうそく)や脳梗塞の治療で、血液を固まりにくくする薬「パルナジン」は、劇症肝炎を起こしやすいことで知られ、服用後は2週間ごとに肝機能検査を受けることなどが規定されている。
さらに、「降圧薬などの薬を飲んでいると、薬同士の薬物相互作用や、同じ酵素で薬を分解するため、分解されにくくなったりする」(泉部長)と、薬の飲み合わせでも、肝機能低下や劇症肝炎を引き起こすこともあるというから注意が必要だ。
「アレルギー反応には個人差があるため予測は難しい」と泉部長。自己判断せず、持病の薬を飲みつつ風邪薬などを飲むときには、主治医に相談することが一番。また、主治医以外の医療機関で処方を受けるときには、薬剤内容を記した「薬手帳」を忘れずに持参したい。
夕刊 フジ
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